インド・砂漠の街と村を訪ねて
宗教的な壁画
IMAGES OF RAJASTHAN
2003年3月20日(ちょうどアメリカ軍がイラク攻撃をはじめた日でした)から三週間ほど、私はインドに滞在しておりました。その時は少し時間に余裕がありましたので、インド西部ラジャスタン州の都市(ジャイプール、ジョドプール、ジャイサルメール)や村を周り、思いがけず人生初の野宿(on砂漠)まで経験してきました。そこで見た人々の生活や文化は、私の鈍った右脳に鮮烈な感動をあたえ、1年ちかく経つ今でも脳裏に焼きついて離れません(その後もインドに行っておりますが、ファーストインパクトってやっぱりスゴイなと思います)。そんな旅の中でしたので撮った写真も今までに無い程多く選別するのが大変でしたが、その中から特に気に入っているものを載せてみました。
管理人 2/25.2004


ラジャスターンの工芸を歩く
ブロックプリント
ラジャスターン州の州都・ジャイプール郊外にあるバグルー村の染色工房です。ここでは木綿の生地に木版で文様を置いていく「ブロックプリント」の生地を生産しております。寸分の隙間無く木版を押していく様は見事の一言。
 先ず「なぜインドに行くのか」といえば、「そこが多くの染織技法の発祥地であり、今でも優れた手工芸があるから」です。絞り、絣、刺繍、更紗など染織工芸の原点といわれるだけあって、たとえそれらの工房を訪ねなずとも、それらの技法によって作られているサリーやスカーフを着ている女性を街で見かけられるでしょう。ラジャスターン州では主に更紗の伝統を受け継いだブロックプリント(左写真)、カラフルな絞り、砂漠に住む民族によるミラーワークなどの刺繍や敷物(下)などがあります。
 染織以外の工芸でもラジャスターンで作られているものでは金工や装飾品、家具などなど、まさに手仕事の宝庫と言った趣です。
ブロックプリント
バグルー村では工房だけでなく普通の家庭でもブロックプリントが行われております。これは木版で布の上に糊を置いた後、藍などの染料で染める「泥防染」という技術で、バグルー伝統の技術です。
カーペット作り
ジョドプール郊外のカーペットを織っている工房です。工房といっても家内工業生産でターバンをかぶっているおじさんがほとんど一人で作っていました。糸の素材は羊やラクダの毛。手前の女性のサリーはこの地域特有のカラフルな絞り染めです。
鉄を打つ店主
ジャイプール郊外の『チョキダニ』にて伝統的な鋳鉄作業をご隠居(父)が体験してみました(2003年11月)。叩いた鋼を曲げたり伸ばしたりして動物などの鉄製品を作るのですが、ここで出来たのはヘビ。本人にとっては一生の宝物となりました(^^)。
陶器作り
ジョドプール近郊の村で盛んに行われている陶器作り。素焼きの壷を中心に作っているのですが、職人さんのロクロ捌きにビックリ。まず用意した木の棒で縁を擦りながら回転させ、程よく回ってきたところで粘土を置き成形開始。すぐ作らないとロクロが止まるので手際の良さは一級品です。

ジョドプールからジャイサルメールへ
ジョドプール
ジョドプールの中心にあるかつてのマハラジャの要塞から旧市街地をみたところです。壁面を青く塗っている家が多いことから通称「ブルーシティ」。なんで青く塗っているのか現地のガイドさんに訊ねたら、多分蚊を防ぐためなのでは、ということ。ホンマかいな・・・。
ジョドプール
「ブルーシティ」の家屋は古い建物が多く、どれも個性的です。お気に入りはこの家。玄関のフォルムと色違いの扉、隣との隙間ゼロなところなどと、どれも不思議・・。
歯医者
ジョドプールの街の中にいた露天の歯医者さん。見ての通り並べられているのは入れ歯の型らしき物と錆だらけのペンチ・・。見えずらいですが看板には口と歯の絵が描かれています。こわ〜・・。
装飾品
こちらは露天の雑貨屋さん。女性の腕につける腕輪や鼻ピアスなどなど。若い女性たちは熱心に見入っていました。
床屋
こちらは床屋。ハサミと鏡が無いところをみると顔そり専門なのかな。
牛を解体しているのではありません。蹄に鉄を打っているところ。ヒンドゥー世界では牛は神様の乗るものとして大事にされています。
村
ジョドプール近郊の村。この辺ではカーストによって家の作りが違うので家を見ただけでそこの住人の仕事が分かるそうです。この家庭は牧畜が家業。女性は両腕に17個(だったと思う)づつ腕輪をつけ、一個でも壊れたらそれは不吉な前兆として全部とり変えるそうです。
ジャイサルメール市街
インド、パキスタン両国に広がるタール砂漠。その真っ只中にある都市・ジャイサルメールは古くから東西交易で栄えた城砦都市です。今でも城壁の中に人が住んでます。向こうが「ブルーシティ」ならこちらは「ゴールデンシティ」!これ本当の話です。
ハヴェリ
200〜300年前の富豪や貴族たちが建てた豪邸・ハヴェリの数々を訪ねると、かつてこの街が繁栄していた往時にタイムスリップしたかのような気分になります。切石を積んだ外観も素晴らしいですが、内装のレリーフも実に見事!
ダンサー
ロマ音楽の軌跡をたどるトニーガトリフ監督の映画『ラッチョ・ドローム』を観て以来、どうしても生で一度は観たかったラジャスターンの伝統舞踊&音楽。幸運にもご当地で何度かライブで鑑賞する機会を得ました。見てください、この衣装の美しさ(もちろん彼女も)。リズミカルでグルーヴィーなバックの演奏に合わせて、激しくコマのように回り踊ります。左端に写っている壷を重ねたものを頭の上にのせて舞うなど、曲芸的なパフォーマンスもあり。
ジャイサルメールの楽士
現地の業者さんとの雑談の中で音楽のことを話してたら、その夜なんと彼が地元のミュージシャン達を連れてきてくれました。とにかく力強く素晴らしい演奏。一生の思い出です。
村の家族
ジャイサルメールから少し離れた村の家族。村といっても砂漠の中に間隔を置いて点々と家がある感じ。人々はとても明朗で、家の奥では旦那方が真昼間からの宴で盛り上がっておりました(実は私も参加しました)
タール砂漠
ロマの村
砂漠に暮らすノマディックの人々のキャンプ。見渡す限り砂の大地でわずかな家財道具と家畜だけを持ち、土地を転々と生きて行くスタイルはまさにロマの原点。
砂漠
砂漠に足を踏み入れたのはこの時が始めて。風紋の美しさといい、地平線まで遮るものがないというスケールといい、すべてが新鮮で感動的でした。
ラクダ
砂漠地帯ではやはりラクダが大活躍。「ラクダ車」は悠々と砂漠の一本道を進みます。
管理人とラクダとラクダ使い
となるとやはり一度はラクダに乗ってみたいもの。ターバンと民族衣装を着てキャメルライドに挑戦してみました。
影
これはラクダ上から地面に映る影を撮った一枚。急転直下する乗り降りははっきり言って恐ろしく、乗り心地もあんまり良くないけど楽しい経験でした。
野宿
砂漠へはジャイサルメールから一泊二日の「キャメルサファリ」に申し込んで行きました。夜は砂漠で野宿。涼しく、静寂の夜は星空を見ながら夢の世界へ・・・。

キャラバン  小松家生々流転
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